おまけは“元気玉”? 名物店主が営む発地の「白ほたる豆腐店」

 雄大な浅間山を一望できる軽井沢の発地(ほっち)エリア、 県道157線沿いに突然現れる「白」の形をしたモチーフと「癒し処白ほたる」という看板。癒し処?マッサージ? いやいや、実はこう見えて豆腐屋さん。浅間山麓の水と自家製栽培による大豆で作られるこだわりの豆腐は、ここでしか味わえない生粋の“軽井沢豆腐”。地元「星のや軽井沢」でも提供されている地産地消グルメだ。どんな頑固一徹な職人さんが手掛けているのかと思って店に入ると、「いらっしゃいませ~!」と店中に響く声で出迎えてくれたのは店主の森友実(もり・ともみ)さん。この弾けるようなエネルギーに不慣れだった当初は少々戸惑いを覚えたが、最近は美味しい豆腐と一緒にこの“元気玉”をもらいに行っている気もしている。

軽井沢の発地エリア、県道157線沿いにある白ほたる豆腐店。ちょっと変わった「白」のモニュメントが目印

軽井沢のもので育てて、作る

 2013年の春に開業した白ほたる。「ホタルの里」としても知られる発地エリアにある豆腐屋、ということでそう名付けられたそう。100%国産の大豆と天然にがりを使って丁寧に作られる豆腐は、当初は国内数箇所の契約農家から仕入れた大豆をブレンド使用していたが、2018年以降は自家栽培大豆(軽井沢産)を中心に厳選した長野県産大豆を使用している。大豆づくりには農薬を一切使用せず、おからを寝かして作った堆肥を畑に戻すという「循環農法」を実践するこだわりようだ。

白ほたる豆腐店

 商品ラインナップは木綿豆腐、よせ豆腐、変わり豆腐(黒ゴマ、小豆、海藻等)、油揚げ、厚揚げ、がんも、おから、豆乳、味噌等幅広い(最近はパンもみかけたような…)。個人的によく購入するのは「変わり豆腐」。「黒ごま豆腐」はわさびと塩で、「免疫トロわかめ豆腐」はとろろ芋との相性も良い。スーパーなどで売られている豆腐の価格より少し高価だが、味はもちろん食べ応えも、そして「体に良いもの食べた」感が良い。

木綿豆腐やよせ豆腐をはじめ、免疫トロわかめ豆腐など個性的な「変わり豆腐」が並ぶ

 がんもは菜種油で揚げられているので風味が良く、そのまま焼いて醤油を垂らして食べたり、おでんに入れたり。ひじき等が入った具沢山の「白ほたるがんも」の他に「生姜がんも」や、冬期のみ販売される「ゆりねがんも」などバリエーションも豊富だ。

がんもも種類が豊富。ちなみに豆腐は購入日から3日、揚げ物は4日ほど日持ちするという

 白ほたるの商品は軽井沢町産の農産物を取り扱う直売所「発地市庭」(ほっちいちば)でも購入できるほか、直売所内「白ほたるキッチン」では砂糖を使わない「飲むお豆腐」や、酵素玄米にクリーミーな豆乳味噌汁のセット、自家栽培の小麦と濃厚豆腐に酵素玄米を混ぜた玄米パンで作った「がんもバーガー」など、植物性食材で作られたメニューを提供している。自身もマクロビオティックを実践しているという森さんの考案するラインナップは、ビーガンやベジタリアンの人たちからも人気だという。

「食べたら元気いっぱいで健康になるものを作りたい」

 いつも発地市庭で買い物を済ませた後、少しクルマを走らせて1.5kmほど離れた実店舗へと向かう。発地市庭での買い物時にまとめて済ませた方が手っ取り早いが、直営店の方が少し安価なのと、店でしかもらえない“特典”があるからだ。その特典とは店主の森さんが繰り出す「元気玉」だ。

 「白ほたる」のホームページによると、森さんの前職はウェブデザイナー。「自然に囲まれた暮らしがしたい」と東京都心から軽井沢に移り住んできたものの、多忙な仕事で体調を崩し、健康な働き方・暮らし方について再考するなかで豆腐づくりと出会ったそう。「身体の中から元気になれるような豆腐を作りたい」と修行を積み、大豆栽培を手掛ける旦那さんと二人三脚で店を営んでいる。

「今日も素敵な1日をお過ごしください!」と“元気玉”をくれる森友実さん。とにかく元気で明るい

 「せっかく食に関する仕事をさせていただいてるなら、自分は、食べたら元気いっぱいで健康になるもの、体内で光り輝いてその方を本来の健康に戻す程パワーのある物を作りたい」という森さん。そのためにまずは自身が心身共に健康であろうと、いつでも楽しい気持ちでお客や大豆と接するよう心がけているという。

 そんな思いから繰り出される「いらっしゃいませ~!!」という森さんのパンチのある声に、初めて入店したときは目を丸くしたが、何度か通ううちにこちらにも免疫(?)ができたようで、いまでは森さん以外のスタッフさんだと少し物足りなさを覚えるようになってしまった。

 立ち寄ったこの日は、店には森さん1人。おからと黒ごま豆腐を購入し、最後に森さんの笑顔と決め台詞、「今日も一日、元気にお過ごしください~!!」と元気をもらい、買い物が完成した気分になる。

この日、購入したおからと黒ごま豆腐

 「開店当初、遊休地にぽつんと佇む小さな豆腐屋に興味津々のお客様から『いつまで続くかな?』なんてよく言われていました」(森さん)といいつつ、今年で開業9年目を迎える。いまやすっかり人気店の名物店主となった森さんを見ると、豆腐ついでに“元気玉”をもらいに来ている客は私だけではないのだろう。看板にあるように、たしかにここは豆腐屋さんであり、「癒し処」なのかもしれない。

営業時間は10~15時まで。定休日は月木(2022.1現在)

白ほたる豆腐店

所在地:〒389-0113 長野県北佐久郡軽井沢町発地1712

連絡先:0267-41-0245

営業日:10:00~15:00(※商品が完売次第、閉店)

定休日:月・木曜日

公式HP:http://www.karuizawa.jp.net/

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