雲海に浮かぶ巨大な“荒船”を眺めて 「APC」の絶景オートキャンプ 

 軽井沢から車で約1時間ほど、佐久市にある「荒船山(あらふねやま)パノラマキャンプフィールド」、略して「APC」。文字通り、荒船山を中心とするパノラマを望む標高1200m地点にあるオートキャンプ場です。かつては「内山牧場」という名の牧場だったこの地。広々、青々としたキャンプサイトは、まさに牛がいない牧草地でキャンプするといったなんとも不思議で贅沢な趣です。我々にとってキャンプといえばいつも登山や自転車旅の一環で、オートキャンプ(=我々にとってはグランピング!)に出かける機会は滅多にないのですが、ここは山に登るのと同じくらいの絶景にクルマでアクセスできるということで、思い切って贅沢に(?)いってきました。

朝日が昇る荒船パノラマキャンプ場(APC)と、船というよりくじらのような荒船山

初日は雲隠れ…

 標高1,422mの荒船山は群馬県下仁田町、南牧村、長野県佐久市にまたがる場所に位置します。浸食によって形作られたテーブル状の高地が「荒海に浮かぶ不沈艦」にも例えられ、どこから見ても分かるその山容が登山ファンのみならず多くの人を引きつけます。
 そんな荒船山を一望できるAPCもまた標高1200mの高台に位置します。天気の良い日は、荒船山や八ヶ岳、南アルプスまでも望む大パノラマや満点の星空を堪能できます。車のナンバーを見ると県外から訪れている人も多いようで、都心から来た人はキャンプ場のキャッチコピーにある通り、「空ってこんなに広かったんだ」と感じるのではないかと思います。

「APC」の広大なフリーサイト。車1台+テント・タープ各1張、最大5人までで1泊4000円~(APC公式サイトより引用)

 空前のキャンプブームとあって、この日(土曜日)も朝から受付は大賑わい。全面フリーサイトのキャンプ場が立派でおしゃれなテントで次々と埋まっていくなか、我々も全体を見渡せる高台の一角に今日の根城を確保しました。

山岳用テントで来ているのは我々だけw
テントとミニタープを組み合わせた「小川張り」。後ろからみるとこんな感じ

 キャンプ雑誌から飛び出てきたような素敵なテントに囲まれるなか、「山用テントは建てやすいもんね」などといいながら設営完了。タープの下、コットに寝転んで、お気に入りの軽井沢の地ビール(?)「クラフトザウルス」をチビチビ。初秋の風を感じながら、至福のひとときです。山登りもしていないのに、こんな幸せなキャンプでいいのかしら…と不慣れな快適さになぜか罪悪感も覚えます。

コットにゴロン。「クラフトザウルス」のブラックIPAも完備。至福のひととき

 天気予報では、この日は一日晴れ予報でしたが、さすがに標高1200m地点にもなると山の天候さながら雲の動きが激しい。視界の先に広がるはずの荒船ビューも雲に遮られてしまいました。自然が相手ですから、こういうこともありますね。仕方ないので昼寝続行、とむしろ好都合…?(笑)。

テントの中でシュラフに入って本格的に昼寝

灯りが演出する幻想的な夜

 陽が沈むと、もう天気は関係ありません。灯りをともしてキャンプの醍醐味、夜の時間の始まりです。こういうオイルランタンも山には持っていけないので、オートキャンプならではの楽しみ。優しい灯りに癒されます。

日が暮れてランタン点灯。この雰囲気もキャンプの楽しみ

 炭を起こして肉を焼いたりアヒージョを作ったりと、夕食もいつもの山ごはんと比べて格段にゴージャス。持ってきた赤ワインも進みます。オートキャンプって本当に快適。もう山キャンプには戻れなくなりそうです(笑)。

おなかいっぱいになったところで、ぼーっとしながら大好きな焚き火

 周囲が灯す明かりでキャンプ場はいっそう幻想的に…って、ちょっと幻想的すぎやしません??と思ったら今度は辺りに霧が立ち込めていたようです。これはこれでなかなか見られない光景です。ワインの酔いも相まって、夢心地の気分のまま寝袋へ…。

霧が立ち込めてきたけれど、それもなんだか神秘的

 就寝時間が9時前と早かったこともあり、夜の2時半頃に一度覚醒。トイレへ行こうと外に出てみると霧はすっかり晴れ、夜なのに明るい…。そう、この日は中秋の名月。明るい月夜のもと、遠くに目を向けると大きなくじらのような形をした荒船山が、これまた海のような雲海から浮き上がるように姿を現していました。

夜明け前、中秋の名月に光で空が明るい

雲海に浮かび上がる荒船

 感動しつつも眠気が勝ち、ひと眠りして、朝4時に起床。日の出前だというのに、ひときわ明るい月光に照らされた世界は早々と白んで、まるでまだ寝ている今日という日をたたき起こしているように見えました。

まん丸の満月。明るい

 日の出の時間目掛けて、キャンプ場の奥にある展望台へと上がりました。朝陽に照らされる荒船山の絶景を狙います。

キャンプ場と荒船山を一望できる展望台。同じように早起きして待ち構える人もちらほら

 朝日に照らされて様々な色に変化する雲海。東から西へ形を変えながら流れる雲で、荒船山が波を分けて進む船のように見えました。単に「船山」ではなく「荒船山」と呼ばれるのは、おそらくこの雲海の“荒波演出”込みの名称なのかもしれません。

船というか、巨大なくじらのようにも見えたのは私だけでしょうか?
刻一刻と表情が変わる山並み。雲海に照らされて幻想的な雰囲気に
秋を感じさせる爽やかな風
自分のテン場に戻ったところで朝日が顔を出した。嬉しい瞬間

9月下旬~10月上旬は一面のコスモス畑に

 もう一つ、ここAPCは9~10月にかけて、3ヘクタールの敷地一面を埋めつくすコスモス畑がお目見えします。その数およそ100万本。9月中旬だった当日も7分咲きといったところでしたが、見ごろを迎える9月下旬~10月上旬の景色は圧巻とのこと。コスモス園内に遊歩道も整備されていて、可憐なコスモスを間近で楽しむこともできるそうです。

コスモスで有名なAPC

 ちょうどいまが見ごろを迎えている頃ではないかと思います。今度は平日に軽井沢からここへ訪れ、リモートワークからさらに一歩進んだ「ノマドワーク」をしてみようかと画策しています。心地よい秋風に吹かれたら、仕事なんて無理かもしれませんが…。

 そして次に目指すのは、荒船山の登頂。眺めていたあの山頂からどんな景色見えるのか、楽しみです。

帰り道、少し近づいてみた荒船山。今度はぜひ登ってみたい

APC(荒船パノラマキャンプフィールド)

所在地:長野県佐久市内山352-1 荒船パノラマキャンプフィールド(旧 内山牧場キャンプ場)

電話番号: 0267-65-2021

営業期間:2022年は11月27日(日)まで

営業時間(受付):11:00~17:00 ※デイキャンプのみ10:00〜

HP:https://arafune-camp.net/

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