厨房の近くで味わう美味し・楽しい中華料理「希須林 軽井沢」 

 「胡麻のコクと辛さが癖になる!」と評判の担々麺で知られる中華料理店、「希須林」(きすりん)。東京の赤坂と青山に店を構え、ランチ時には順番待ちの行列を成す名店の3店舗目が、軽井沢の星野エリア「ハルニレテラス」にあります。担々麺専門の赤坂店に対して、ここは青山店と同様様々な中華料理を楽しむことができますが、青山店と異なるのはお店の規模。店内はわずか10席のカウンター席があるのみで、テーブルを挟んだその先はすぐ厨房という作りになっています。そんな“隠れ家”のような佇まいのお店ですが、至近距離で味わえる絶品中華に魅了された我々のような常連さんも数多く、人が増えるハイシーズンの週末のディナータイムは予約必至の人気店となりつつあります。

作り手との絶妙な距離感

 中軽井沢の湯川沿い、ハルニレの木立に囲まれていたことから、そう名づけられたという星野エリアのハルニレテラス2009年のオープン時から希須林はお店を構えていましたが、当時はいまよりも広い店内で、厨房スペースとフロアが分離した、いわゆるよくあるレストランの作りでした。いまのカウンター席のみの形にリニューアルされたのは2018年。季節によって集客が大きく変動する“軽井沢事情”を踏まえての改築だったようですが、店長の佐野さんによると「厨房とお客様との距離感をより近いものにする」という中華料理店としての試みもあったそうです。

希須林軽井沢の店内の様子。10あるカウンター席全てから厨房の様子が見える(ハルニレテラスのHPより引用)

 その狙いは的中。料理長でもある佐野さんの流れるような“中華さばき”に見入っている間に、中華鍋で振られていた具材が料理となって完成と同時に「お待たせしました」と自分のものになる。このライブ感は、見えない厨房で作られて運ばれてきたものをいただくのとでは、同じ料理でも雲泥の違いがあるように思います。作り手の顔が見える安心感というか、料理を介して自然とコミュニケーションが生まれているというか…。その効果もあってか、周りを見渡すと常連さんとおぼしきお客の姿も多い様子。かくいう我々も、いつの間にか自宅の延長のような気分で足しげく通うようになっていました。

カウンターのみの店内。厨房の佐野さんご夫婦との距離感もこの通り(写真のメニューは五目あんかけ焼そば)

絶品!「希須林レバニラ」

 胃袋をつかまれ、常連客になるきっかけとなったのが同店の看板メニューでもある、その名も「希須林レバニラ」。実はこの店を知ったきっかけは知人からの紹介で、そのときの誘い文句が「ここのレバニラが美味しいんだよ~」というものでした。その言葉に間違いはなく、これまで食べたレバニラの中でも群を抜く美味しさ。レバー特有の臭みがまったくなく、それでいてぷりぷりとした食感に「これ、本当に豚レバー?」と思ったほどでした。佐野さんによると地元・北軽井沢産の豚のレバーを使っているそうで、「とにかく鮮度にこだわっています」とのこと。このレバニラとの出会いがきっかけでレバー嫌いを克服したお客さんもいたそうです。

希須林軽井沢を訪れたら絶対に食べてほしい絶品の「希須林 レバニラ」。シャキシャキのニラと相性抜群!

 レバーの質もさることながら、佐野さんが繰り出す味付けもこれまた絶妙で、悔しいことに(?)頬張った瞬間、舌が白米も求めてきます。ということでよくオーダーしてしまうのが小ライス。〆に担々麺をオーダーするのを自分でもわかっているのに、つい欲望に負けてしまいます。何度か白米なしで乗り越えてみようと思いましたが…、無理でした。なぜなら希須林はごはんも美味しいのです。

 「なぜごはんがこんなに美味しいんだろう。このタレがごはんを美味しくするのだろうか?」などと思っていたところ、理由がわかりました。なんとお米を土鍋で炊いて、保温ジャーに移していたのです。どうりで米一粒一粒がツヤツヤでピンと立っているわけです。中華料理店でありながらこのこだわり。完敗です。このときだけは炭水化物のリミッターを振り切って、レバニラをごはんにバウンディングしながら口福を味わいます。

レバニラをオーダーしたらライス(ザーサイ付)は必須です!(写真はおそらく小ライス)

その他、推しメニューの数々

 人気メニューなのでレバーの在庫が底をついてしまい、ありつけないこともしばしば。そんなときは膝から崩れ落ちそうになりますが、大丈夫。レバニラの他にも希須林には美味しいメニューが他にもたくさんあります。レバニラがあってもなくても、いつも注文してしまうお気に入りメニューを紹介します。ちなみにいつも2人でシェアするスタイルで、たいてい前菜~メインのおかずを3,4品、そして最後の〆に担々麺などの麺類やチャーハンを一品注文するパターンが多いです。ちなみにレバニラがあるときはそれぞれレバニラを一人前ずつオーダーし、ライスまたは半ライスをつけます(平和を保つためw)。

生椎茸の歯ごたえがクセになる「お豆腐と春雨の胡麻だれサラダ」(豆腐と春雨は椎茸の下に入ってます)。
「青菜のあっさり炒め」。強火でさっと仕上げるから、シャキシャキの歯ごたえ
「土鍋の麻婆豆腐」。ぐつぐつと煮立って出てきます。これもオーダーする人多し。
前菜でもう少し肉を食べたいときに嬉しい「焼売」(2個)。この他に「黒酢の肉団子」も美味
希須林に来たらやっぱりこれ!「軽井沢 担々麺」。軽井沢店のみ胡麻でなくピーナッツのペーストを使用しているそう。まろやかなコクに病みつき
シャキシャキのレタスが美味しい「蟹と高原レタスの炒飯」
「焼餃子」(4個)
「春巻」(2本)
スナップエンドウときのこを使った何か…
カシューナッツと万願寺とうがらしを使った何か…
自家製の中華干し肉「腊肉 ( ラーロウ )」 のせいろ蒸し
「鶏の唐揚げ 〜 油淋ソース 〜」

メニューにない“メニュー”が味わえるチャンスも

 この他に、その日の仕入れ状況でメニューにない料理を提案してくれることも。意外だったのはトンカツ。タイミングよくレバーを仕入れている養豚場から美味しい豚肉が入荷できたということで提案していただきました。中華料理店で「トンカツどうですか?」といわれる機会もないので少し驚きましたが、そこは研究熱心な佐野さん。普通にトンカツを出すのではなく“希須林ならでは”の中華風アレンジを効かせたトンカツということで、好奇心半分で注文させてらいました。ということで出てきた料理がこちらです。

中華風にアレンジしたとんかつ。中華系の調味料や薬味をアクセントに使ったソースが意外にマッチ

 確かに見た目はトンカツですが、盛り付け方は見慣れた「withキャベツ」のスタイルではなく、どことなく中華風。そして決め手なのがソース。八角?や甜面醤などの風味が「あ~、なるほど、中華!意外と合う!」という感じで隠し味的に顔を出してくるのでした。佐野さんは普段から自宅での食事でも色々と試行錯誤を重ねているそうで、今回のトンカツもその一例だったとのこと。そんなユニークで美味しい佐野さんの創作を期待して、メニューにないオーダーをする常連さんもたまにいるようです。

 「パスタが食べたい、と言われたときにはさすがに驚きましたけどね(笑)」と苦笑いを浮かべていましたが、想像を超えてくる佐野さんの“裏メニュー”を何度か体験すると、無茶ぶりしてみたくなるお客さんの気持ちがわからないでもありません(笑)。

「本日の汁そば」。日によって変わり、毎回期待を裏切らない
話の流れで「できますよ」といって作ってもらった天津“麺”
「新鮮なレバーが手に入った」というタイミングで、薬味たっぷりのメニューを提案してくれたことも

 そんな常連さんとのやりとりが生まれるのも、カウンター越しの距離感ならではなのかもしれません。ちなみにメニューにない特別メニューは、「コース料理」の予約時に事前に要望を伝えると対応してくれるそうです。

 舌や胃袋だけでなく、心も満足させてくれる「軽井沢中華」。根強いファンが多いのも頷けます。

珍しくおなかに余裕があったときにオーダーした「なめらか杏仁豆腐」

希須林軽井沢

所在地:長野県北佐久郡軽井沢町星のハルニレテラス

電話番号:0267-31-0411

営業時間:ランチ11:00 – 15:00 (L.O.14:30)/ディナー17:30 – 22:00 (L.O.21:00)

定休日:水曜日

HP:http://www.kisurin.com/shop/karuizawa.html

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